資金調達できても採用計画は慎重にすべき

“資金調達できても採用計画は慎重におこなうべき” ということを痛感させられる反面教師的なケーススタディ記事が公開されていたので、ご紹介します。

斎藤:資金の使い方のどこに問題があったのですか。

松田:調達した資金で集めた人材の多くは活躍してくれるどころか、結局何もできなかった。そもそも食品流通という仕事の現場にあまり興味がなく、数字を見てビジネスを考えるばかりで現場に一切行こうとしないのです。お客様に会って話を聞くわけでもありません。

資金調達後の採用失敗したって話を公開するのってかなりの勇気が必要だったと思うので、その点は八面六臂社に感謝です。

文字として読んでみれば「まあ、そうだよね。資金調達できても採用計画をちゃんとして、お金は使うべきところに適切に使うべき」、そんなことは言われなくてもみんな理解はしているはずなんです。しかし、現実にはそう上手くはいかないのがリアルだと思うんですよね。

綺麗な経歴や肩書を持っていて、そこそこ良い年収や待遇を提示すれば “優秀な人材” を獲得することはある程度はできると思います。ただ、採用後に「何を任せたいのか?任せたい仕事について両者の認識の齟齬はないか?」を具体的に洗い出しておかないと、優秀な人材はすぐに何もできない人材になってしまいます。

そもそも、採用計画の時点で「この仕事を任せるポジションを募集する」という点が具体的に言語化できるぐらいまで詳細におとしこんでおくべきだと思うんですが、ふわっと「EC (イーコマース) に詳しい人を採りたい」「物流に詳しい人を採りたい」というぐらいになっていると、ミスマッチが生じてしまうと思います。

例だと EC とか物流ってざっくりすぎなので、EC の中で商品買い付け(buying)をやってもらいたいのか、配送オペレーションを改善してほしいのかとか様々な業務があります。どこの部分をどういう期待値でやってもらいたいのか、面接時点で候補者に適切に伝えておかないと採用のミスマッチはすぐに発生してしまいます。

他にも、前職が大企業で優秀な人材が、スタートアップで即戦力になるかと言えば、そうはならないケースというのもよく聞きますし、僕も実際にそういうケースをたくさん見てきました。

まとめ 資金調達と採用の計画は文章に落とし込もう

資金調達する前に「資金調達したお金の使い道は?」、「資金を採用に使うなら、どのポジションを何人採用したくて、採用した人には入社日から具体的にどんな業務をやってもらいたいのか?」という風に、細かく言語化して落とし込んでいくことが大きく失敗させないためのコツなんじゃないかなと “5億円近い資金調達で迷走が始まった” の記事を読んで改めて考えさせられました。