OpenRouterの手数料とコスト構造の仕組みを理解する

Tadashi Shigeoka ·  Tue, November 25, 2025

OpenRouterは、OpenAI, Google, AnthropicなどのLLMを単一のAPIエンドポイントで利用できる便利なサービスです。モデルごとのAPIキー管理から解放され、開発効率が飛躍的に向上します。

しかし、その料金体系、特に 手数料(Transaction Fee) については、意外と見落としがちなポイントがあります。本記事では、2025年11月時点の情報を元に、OpenRouterの手数料体系を調査し、コストを正確に把握するためのポイントをまとめました。

結論:OpenRouterの手数料はいつかかる?

結論から言うと、OpenRouterの主な手数料はクレジット購入時に一度だけ発生します。APIを呼び出すたびに手数料が上乗せされるわけではありません。

Point: モデル利用料そのものにOpenRouterが上乗せ(マークアップ)することはありません。あくまでプロバイダーが提示する公式価格がそのまま適用されます。

OpenRouterの基本的な料金体系

まず基本として、OpenRouterはサブスクリプション(月額定額制)ではなく、前払いクレジット+従量課金制です。

  1. クレジットを購入: ドル建てで事前にクレジットをチャージします(例: $10)。
  2. APIを利用: 使いたいモデルでAPIを呼び出します。
  3. コストが差し引かれる: 利用したモデルのトークン数に応じた料金が、チャージしたクレジット残高から差し引かれます。

手数料が発生する3つのケース

手数料が課金されるタイミングと内容は主に以下の3つのケースです。

1. クレジット購入時の決済手数料

これが最も主要な手数料です。クレジットをアカウントにチャージする際に、決済手数料がかかります。

支払い方法手数料
クレジットカード/PayPal等5.5% (ただし、最低手数料として $0.80
暗号通貨(USDC等)5%

少額を頻繁にチャージするよりも、ある程度まとめてチャージする方が、最低手数料の影響を受けにくく割安になります。

2. BYOK(Bring-Your-Own-Key)利用時の手数料

自分自身のプロバイダーAPIキー(例: OpenAIのAPIキー)をOpenRouterに登録して利用する「BYOK」モードの場合、追加の手数料が発生することがあります。

  • 月間 100万リクエストまで: 無料
  • 100万リクエスト超過後: モデルの基本コストに対し 5% の手数料が追加でかかります。

この手数料も、OpenRouterのクレジット残高から引かれます。通常のOpenRouterのAPIキーを利用する場合は、この手数料は関係ありません。

3. 無料モデルの利用

OpenRouterには free タグが付いた無料モデルも存在します。これらは基本的に無料で利用できますが、1日あたりのリクエスト数制限などが設けられているため、本番環境での利用には注意が必要です。

具体的なコスト計算例

実際にどれくらいのコストがかかるのか、シナリオで考えてみましょう。

シナリオ: ある有料モデル(入力: $0.50/Mトークン, 出力: $2.50/Mトークン)を使い、合計 100,000 入力トークンと 50,000 出力トークンを処理した場合。

ステップ1: モデル利用料の計算

  • 入力コスト: 100,000トークン = 0.1Mトークン × $0.50 = $0.05
  • 出力コスト: 50,000トークン = 0.05Mトークン × $2.50 = $0.125
  • モデル利用料合計: $0.05 + $0.125 = $0.175

この $0.175 が、あなたのクレジット残高から差し引かれます。

ステップ2: クレジット購入時の手数料を考慮

もしあなたがこの利用のために $10 のクレジットをクレジットカードで購入していた場合、支払い総額は以下のようになります。

  • クレジット額: $10.00
  • 手数料: $10.00 × 5.5% = $0.55 → 最低手数料 $0.80 が適用されるため $0.80
  • 支払い総額: $10.00 + $0.80 = $10.80

この $10.80 の支払いで、アカウントには $10.00 分のクレジットがチャージされます。API呼び出しの都度、この手数料が追加でかかるわけではない点が重要です。

まとめ:コスト管理で注意すべきこと

OpenRouterの手数料はシンプルですが、正確な予算策定のためには以下の点を意識しましょう。

  • 手数料はクレジット購入時に発生: API利用ごとの変動費ではなく、クレジットチャージ時の固定費(率)として捉えましょう。
  • 実質コストを意識する: モデルのトークン単価だけでなく、決済手数料(5.5%等)を含めたトータルコストで予算を組みましょう。
  • チャージはまとめて: 少額を何度もチャージすると、最低手数料 ($0.80) の影響で割高になる可能性があります。

OpenRouterは、利便性を考えるとコストパフォーマンスの良いサービスです。手数料の仕組みを正しく理解し、賢く活用していきましょう。

以上、OpenRouterの手数料について調べてみた、現場からお送りしました。

参考情報