Vercel AI Gatewayを複数環境(production, preview, development)で分ける方法
Vercel AI Gatewayを利用したプロジェクトを運用していく中で、複数の環境(production, preview, development)でAI Gatewayの設定を分離したいという要求が出てくることがあります。
本記事では、この課題に対する現在の解決策について解説します。
主に以下のような観点が考えられます。
費用請求の分離: 本番環境(production)で発生する費用と、開発・検証環境(preview/development)で発生する費用を明確に分けたいケースです。特に、開発中の試行錯誤による予期せぬコスト増を本番環境の請求から切り離したいというニーズは大きいでしょう。
外部サービス連携の設定: 連携するLLMプロバイダーなどのAPIキーを、環境ごとに切り替えたい場合があります。例えば、本番環境では本番用のキーを、開発環境ではサンドボックスやテスト用のキーを使用したい、といった連携の要件です。
Vercel AI Gatewayの設定を調査したところ、2025年11月24日現在、プロジェクトやVercelの環境変数(Environment Variables)レベルでGatewayの設定を動的に切り替える機能は提供されていません。
Vercel AI GatewayはVercel Teamに紐づいて作成されます。したがって、環境ごとにGatewayを分離するための現在唯一の方法は、環境ごとにVercel Teamを分けることです。
具体的には、以下のような構成が考えられます。
my-team-production Team: 本番環境用のTeammy-team-development Team: 開発・プレビュー環境用のTeamそれぞれのTeamで個別にAI Gatewayを作成し、アプリケーション側で環境変数を元に接続先のGateway情報を切り替える実装が必要になります。
しかし、この方法はプロジェクトの管理が煩雑になり、Teamをまたいだ運用が必要になるなど、開発者体験の観点からは理想的とは言えません。
Vercelの強みは、環境ごとのデプロイや環境変数の管理がシームレスに行える、その優れた開発者体験にあります。Vercel AI Gatewayも同様に、プロジェクトの設定内で環境ごとに使用するGatewayや、連携する外部サービスの設定を簡単に切り替えられるようになると、さらに強力で使いやすいツールになるはずです。
今後の機能アップデートで、より細やかな環境ごとのインテグレーションが可能になることを期待しています。
以上、Vercel AI Gatewayを複数環境(production, preview, development)で分けてみた、現場からお送りしました。