『志高く 孫正義正伝 決定版』井上篤夫(著) を読んだので、書籍から得た知見をご紹介します。
『志高く 孫正義正伝』 の2021年アップデート版が発売されて、ソフトバンクビジョンファンドや役員へのインタビューが強化されているとのことで、読んでみました ?
以下、印象に残った箇所の引用とメモです。
孫が常に口にする言葉がある。「社員の才能と情熱を解き放たないといけないよ」技術の進歩にも非常に楽観的だ。むろん技術には負の面もある。だが、孫はポジティブな面を見る。負の側面もかならず技術で解決できる。否定するのではなく、常に技術で解決しようよというのが、孫の考え方だ。宮坂は語る。「技術でかならず解決できるんだ、って強い信念のようなものをとてもぼくは感じます。技術は偉大で、イデオロギーではあまり変わらないと思いますけれど、技術は世の中を変えることがありますから」
? 「常に技術で解決する」という考え方
「言うだけの評論家みたいな人は、これは簡単ですよ、言うだけなら。それで、偉そうに上から目線でね、人を批判したりする。もう、たいがいにせえと言いたい」
? 評論家にはなりたくない。
宮内はソフトバンクの社長に就任して、生き生きと任を果たしている。立派にその能力を果たせるだけの才覚がある。人柄もいい。リーダーシップもある。孫は会長、宮内が社長になって、その瞬間から孫は取締役会以外には一切出ていない。「それをやらないと、いくらタイトルを『社長』としても、部下(スタッフ)は見ているわけですよね。結局、ぼくの決裁がないと事が進まないとか。院政を敷くと組織は、いつまでたっても社長は尊敬されない」
? 院政、良いこと無し。
孫がマルセロを語りだすと止まらない。それは孫の企業論でもある。「ぼくは、会社にはハンティングをする人とクッキングをする人、両方が必要だと思っている。ただ、料理、つまりどんなにすぐれたクッキング能力があっても、先にハンティングしてこないと、獲物を捕ってこないと料理のしようがないわけです。ハンティングしないと、キッチンは常に暇を持て余すわけです。もちろんクッキングしないと食べられない。両方大切なんだけど、どれか一つだけ取れということになると、ハンティングしないとね。
? 会社にはハンティングする人とクッキングする人、両方が必要
ハンティングは常にリスクを伴うわけです。山に獲物を獲りに行って、一年捕れないときだってあるわけ。ライフルと三日分の食い物ぐらい持って出るわけでしょう。三日以内に獲物が見つからないと、もう食べられない。そういう状況の中で、谷底まで獲物を追いかけていかなきゃいけない。これは勇気が要るし、その場その場の瞬間的な判断が要るし、リスクを伴うし、総合格闘技です。ストリートファイターってどういうことかというと、リングの上のボクサーじゃないんです。同じ格闘家でも、リングの上のボクサー、柔道とか、ボクシングとか、オリンピックに出るようなきれいな格闘家は、それはそれですばらしい選手がいるんだけど、町のなかのファイトとなると、四角いリングって決まってないわけです。飛び道具でも何でも来るわけですよ。反則技の武器なんか、平気で敵から飛んでくる。こっちが反則して構わないということじゃないんだけど、常に奇想天外の、予想さえしないような、敵とか、武器とか、事件が起きるわけですよ。その予想外の事件とか、そういうものがやってきたとき、瞬時にその場で判断して、反射神経的に動かなきゃいけないわけです。これは、コンセンサスを上手に取る人とか、そういう人じゃ無理です。
? ハンティング、ストリートファイターの事例
だから、管理畑の人が社長をやると、大体、伸びなくなるのはそこですよね。管理畑イコール料理をする人なんです。やっぱり会社というのは攻めていかないと、日本の(経団連銘柄のような)大企業がもう成長力をなくしてきているのは、企画室長とか、管理畑の人とか、そういう人たちがどんどん偉くなっていくからでしょう。社内調整ばかり上手な人、失敗しない人が生き残っていって、いつの間にか社長になっていくみたいな、そういう会社はもうだめな場合が多いですよね。
? クッキングする人が社長になると会社はダメになる
「人生の達人は、仕事と遊び、労働と余暇、心と体、情報と再構築、愛と信仰をあまりはっきり区別していない。ほとんど区別がつかないのだ。何をするにせよ、彼らは卓越したビジョンを追いかけているだけで、仕事をしているのか遊んでいるのかの判断は、他人に任せている。本人にしてみれば、いつも両方のことをしているのだ」
? 人生の達人、色んな境目が曖昧
以上、志高く生きていきたい、現場からお送りしました。