読書メモ『経営者・従業員・株主がみなで豊かになる 三位一体の経営』中神康議(著)

Tadashi Shigeoka ·  Sat, October 30, 2021

『経営者・従業員・株主がみなで豊かになる 三位一体の経営』中神康議(著) を読んだので、書籍から得た知見をご紹介します。

『経営者・従業員・株主がみなで豊かになる 三位一体の経営』中神康議(著)

背景 VC の方の推薦図書

VC の方から本書をおすすめされたので、読んでみました ?

以下、印象に残った箇所の引用とメモです。

第3章 まずは十分な利益率を確保する——事業経済性

すべての事業は四つの「型」に分類できる

世の中に事業は星の数ほどあれど、「儲けの出方」には四つの「型」しかない、
  1. 規模型事業
  2. 分散型事業
  3. 特化型事業
  4. 手詰型事業

第5章 障壁づくりの必要条件——リスクとコストという「投下資本」

経営者が果たさないといけない最大の義務とは

「日本ではなぜか、堅実経営が評価されがちです。しかし、堅実経営というのは実は、『臆病経営』を言い換えているだけではないでしょうか。堅実経営を唱えて伸びた会社なんて、周りを見渡してもほとんど見当たりません。会社は過去と同じこと、他社と同じことを続けるだけでは成長できないのだと思います。誰もが行く道の先に『成功』の文字はないと思うのです」。

? 堅実経営は臆病経営

ギリギリの投資判断、これこそが経営者の仕事です。経営者が日々の業務に忙殺されるわけでもなく、高い給料を食めて、しかも割とゆったりした時間を持てる(というか、持たなければならない)理由は、この、業界他社とまったく異なる乾坤一擲のジャッジメントを行うという一点によってのみ、正当化されているのではないでしょうか。

? 日々の業務に忙殺されることなく、経営におけるギリギリの投資判断をしていきたい。

第7章 リスクテイクに向けた体制をつくる——勝者の呪い1 集団意思決定

日本企業はいまだに集団意思決定の術すべを開発できていない

日本企業は起業家・オーナー経営者時代(第一段階の時代)では骨太な事業仮説で障壁を構築し、高い「利回り」をたたき出す。しかし非創業家経営者時代(第二段階)、そしてサラリーマン経営者時代(第三段階)と発展段階を進むにつれ果断なリスクテイクができなくなり、せっかく築いた障壁も崩れ、結果として利回りを急速に落とし、「複利の経営」どころではなくなる……。

? いつの時代でもリスクテイクできるかが鍵

創業経営者が強靭な障壁を作れば作るほど、後輩たちはその障壁に安住し、果敢なリスクテイクをしなくなっていく、という「勝者の呪い」がここに見えてくる

? 会社に残すべき資産は? 資産ではなく、勝者の呪いにしたくはない。

集団でリスクを取る必要条件——経営陣は原則CEOの指揮命令に従う

しかし、特に第三段階企業の執行チームには、CEOが付託されている責任の重さを理解し、よほどのことがない限りはCEOの指揮命令に従うという取り決めが不可欠なのだと思います。強大な権限なしに、不確実性や限られた情報のもと、敢然とリスクを取ることなど、はなからできない相談なのです。

? 基本的にCEOの指揮命令に従う。

独立社外取締役のふるまい方1 M&Aの意思決定を分業する

監督の視座——常日頃から体制を整備しておく

監督の視座でより重要なことは、常日頃から事業観の統一やM&Aドメインの設定、M&A事案を検討するための組織・体制・プロセスの整備を促しておくことです。M&Aはその性質上、いったん案件が出てきたら時間を置かずに結論を出さなければならないことが多いので、案件判断の前提となる事業観や検討体制を議論している時間がないからです。

? 常日頃からM&Aのイメトレをして、即断できるようにしたい。

執行の視座——ポストM&Aのあり方について釘を刺す

かつて世界で一番M&Aがうまいと言われてきた会社の一つがGEです。これはGEの方から直接聞いた話なのですが、GEの各事業部門のトップは、常日頃から買いたい企業の一覧(Wish List)を持っていて、それらの企業の価値をいつも算定・改定し優先順位付けをしているそうです。価格が高くなりすぎたら優先順位を下げ、安くなってきたら上げます。

? M&A Wish List を作成・メンテナンスしていきたい。

終章 最速で「みなで豊かになる」——三位一体の経営

ステップ2 投資家の「思考」を理解し、診察を受けてみる

会社の評価の際、カメラの役割をするものの一つは、……機関投資家の目である。贔屓目無しの客観評価には、……社内から「実態を知らない連中がこんな厳しい評価をするなんて」と恨み節が出るが、大抵は機関投資家が正しく、自分達が甘いのだ。

? 会社の評価の客観視

以上、三位一体の経営をしていきたい、現場からお送りしました。