『荒木飛呂彦の漫画術』荒木飛呂彦(著) を読んだので、書籍から得た知見をご紹介します。
UXの考え方について学びたく、この本を読みました。2017年頃に、シリアルアントレプレナーの知人からおすすめの本として教えてもらっていたのですが、積読したっきり、今に至るまで読んでませんでした。
以下、印象に残った箇所の引用とメモです。引用が多数になってしまうため、本記事では一部のみに絞って公開させていただきます。
実際に漫画を描くとき、常に頭に入れておくべきこと、それは、僕が漫画の「基本四大構造」と呼ぶ図式です。重要な順に挙げていくと、 1「キャラクター」 2「ストーリー」 3「世界観」 4「テーマ」 ということになります。
この四つは、それぞれ独立して存在するのではなく、互いに深く影響を及ぼし合っています。 そして、これらの要素を増補し、統括しているのが「絵」という最強のツールで、さらにセリフという「言葉」でそれを補う図式になります。
漫画の「基本四大構造」のひとつである「世界観」もまた、おざなりにしてはいけません。「世界観」は背景描写とも言えますが、つまり漫画の中に広がる「漫面の世界」であり、キャラクターを置いてみたい場所です。
ですから、「世界観」は読者を惹きつけるために非常に重要です。「世界観」とは要するにリアリティですから、いい加減な世界の描き方では、読者はその中にひたることができませんし、その漫画を読もうという気も失せてしまうでしょう。たとえ架空のものであっても、世界観は漫画家の中では確固たるものとして成立していなければなりませんし、架空の世界なりにスジが通っている必要があります。
?世界観: リアリティ、確固たるものを成立、筋を通す
世界観を表現するには、何気ない風景ひとつ描くにも、細かいところまでリサーチが必要になってきます。
?細かいところまでリサーチ
時代的な要素も押さえておくべきポイントです。漫画の中の世界が二〇〇一年だとしたら、その年にどういう車種が走っていたのかを知って描かなければなりません。二〇〇一年の話なのに最新式の車が走っていたら、読者はすぐに気がつきますし、もうそれで「これ、嘘だろ」と、世界観にひたることはできなくなってしまいます。また、当時の携帯のデザインや、何が流行していたのか、どんな歌がヒットしていたのかなど、実際には描かないとしても、それぐらいのことは基本知識です。
?時代的な要素も押さえておくべき基本知識。
どれほど多くを調べ、実際に体験したとしても、それを全部描くとは限りませんし、世界観の説明が中心になってはいけません。読者が見たいのは、キャラクターの行動や運命ですから、世界観を延々と描くことでそれを妨げてはならないのです。一番やってはいけないのは、最初にダラダラと「こういう世界観がありますよ」と説明をすることです。
?調べたことを全部書かない、ダラダラ説明しない。
漫画の「基本四大構造」のところで述べたように、ひとつひとつの要素はそれぞれが互いに影響を及ぼし合っています。「キャラクター」「世界観」「ストーリー」を統括し、なおかつ、つなぐものが「テーマ」です。
「テーマ」とはつまり、作者の物の考え方であり、自分がどう生きるべきか、ということです。それを作品の根元に据えて、ぐらつかないように心がけます。
?テーマはぐらつかせない、ブレない。
「アイディアは尽きないんですか?」と聞かれることもありますが、アイディアが尽きるというより、自分の興味が尽きるからアイディアがなくなるのだと思います。よいアイディアは、自分の人生や生活に密着しているのですから、興味がなくなってしまえば生まれなくなるのです。逆に、常に何かに興味を持つことができて、周囲の出来事に素直に反応できるアンテナを持ち続けられるのであれば、「アイディアが尽きる」ということはないはずです。この「素直に」ということを心がけるようにしてほしいと思います。「自分が興味があるのはこれだ」と限定して、そこから外れたものを無視するという自惚れ”は絶対にNGです。
?常に何かに興味を持ち、素直なアンテナを立て、アイデアを枯渇させない。
以上、UXの考え方について学んで実践していきたい、現場からお送りしました。