読書メモ『デザイン組織のつくりかた』ピーター・メルホルツ(著)
『デザイン組織のつくりかた』ピーター・メルホルツ(著) を読んだので、書籍から得た知見をご紹介します。
背景 デザイン組織の作り方を学びたい
デザイン組織の作り方を学びたく、以下の記事で紹介されており、社内のデザイナー陣にもヒアリングしたところ良書とのことだったので、この本を読みました。
紹介されていた記事: デザイン組織の運営を加速させるデザインプログラムマネージャーというロール
以下、印象に残った箇所の引用とメモです。
はじめに
経営陣の大半はデザイナーではないので、どうすれば組織のなかでデザイン部門を確立できるかを知らない。
📝 自分のこと。
本書は、そんな企業幹部やデザインリーダーのための本だ。
📝 自分のための本だ。
1 なぜ今、なぜデザイン?
しかし、エンタープライズ系ソフトウェアの市場は進化している。企業は質の悪いソフトウェアが生産性の足を引っ張ると悟り、高度な知識を持つようになったユーザーはお粗末なデザインを我慢しなくなった。エンタープライズ向けのソフトウェア会社は、デザインが悪ければ顧客を失いかねないと気づく。
📝 デザインへの投資がそのまま競合優位性になる。
2 デザインのポテンシャルを知る
第1章の最後にスティーブ・ジョブズの発言を引用したが、本章もデザインに関するジョブズの最も有名なことばで始めることにしよう。
ほとんどの人はデザインを見た目のことだと思っているが、それは間違いだ。デザインをうわべだけのことだと勘違いしている。デザイナーには箱を渡して、「見た目をよくしてくれ!」と言えばいいのだと。
私たちは、デザインとはそういうものではないと考える。どのように見えるか、どのように感じるかではない。デザインとは、どのように機能するかなのだ。
📝 デザインとは、どのように機能するか。
プロダクトデザインのコンサルティング会社 Ammunition (Beats by Dreとの仕事が最も有名)の設立者ロバート・ブロナーは、2016 年オライリー・デザイン・カンファレンスで「デザインはプロセスだ。イベントではない」と題したプレゼンテーションをおこない、デザインが進化する過程に身を置いてきた自らの経験を伝えた。
📝 デザインはプロセス。
デザインは戦路を具体的にする
・要点だけが書かれた資料では社内チームのモチベーションが上がらず、要件を満たすだけのおざなりの仕事しかしない可能性がある。
📝 自分が資料作成する上で気をつけたい点。
3本脚の椅子
現代の製品/サービスをとりまく現実は厄介なので、ビジネス、テクノロジー、デザインのあいだには実りある緊張感がなければならない。これら3つの要素は、提供物を支える3本の脚だ(図 2-6)。どれかに欠陥があれば、不安定になる。
図 2-6
製品/サービスの開発とデリバリーを表す3本脚の椅子
📝 3本脚の椅子の図を初めて知った。
3 優れたデザイン組織の12の強み
12 の特徴を基盤、成果、マネジメントの3つのグループに分ける(表 3-1)。基盤はチームの行動を左右し、その存在意義を説明するための核となるコンセプトである。確固たる基礎を確立したうえで、成果とマネジメントにエネルギーを注ぐ。これらの特徴から、質の高いデザインを作り続けるためにはクリエイティブな作業とオペレーションを大まかに分けなければならないことがわかる。
表3-1
優れたデザイン組織の 12の強み
📝 基盤、成果、マネジメント。
2.限定型リーダーシップ
デザインチームは自身の運命を自ら引き受けるべきだ。そのためには自律して幹部と直接やりとりができる限定型のリーダーが求められる。
📝 自律して幹部と直接やりとりができる限定型のリーダーシップが求められる。
限定型リーダーシップ
優秀なデザイナーやクリエイティブディレクターになるためのスキルは、有能なマネージャーやチームリーダーになるためのスキルとはほとんど無関係だ。デザイン組織のリーダーの主な責任はむしろ、他の幹部と協力して組織の道筋を明らかにし、マネージャー、メンター、チームビルダー、またはチームの導き役として貢献することで、社内でデザインが盛んになるのためのスペースを作る(たとえでもあり、文字どおりの意味でもある)という、組織自体に関するものであることがわかるだろう。
📝 優秀なデザイナーと、有能なマネージャーやチームリーダーになるためのスキルは無関係。
幹部と直接やりとりができる
デザインが持つポテンシャルを最大限に発揮するためには、CEO から1〜2段階下の者がリーダーを務めるべきであり、その人自身が幹部になるか、もしくは幹部と直接やりとりできる立場にいるべきである。
📝 デザイン組織のリーダーは、幹部と直接やりとりできる立場にする。
4.価値の理解、明確化、創出
しかしながら、デザイン組織がそのポテンシャルを最大限発揮するには、メンバーがデザインの価値をわかりやすく伝えられなければならないことに変わりはない。「クリエイティブ」を口実にビジネスに関与しないなら、デザイナーは影響力も信頼も失う。デザイナーは自分の作るものがビジネスの成功にどのように貢献するかわかっていなければならない。
📝 デザイナーには、デザインの価値、ビジネスの成功への貢献を理解しておくことが求められる。
デザイナーは得てしてデザインのためのデザインに終始する。つまり、できあがったものがいかにカッコよかろうと斬新だろうと、会社の目標に関係していないのだ。賢明なデザイン組織のリーダーはビジネス価値を重視する。
📝 デザイン組織のリーダーにはビジネス価値を重視して欲しい。 これは全てのリーダーに当てはまる。
5. カスタマージャーニー全体を考慮する
次に、カスタマージャーニー全体をサポートするデザイン組織は1つだけでなければならない。
📝 カスタマージャーニー全体をサポートするデザイン組織は1つだけ。
「マーケティング」と「プロダクト」の体験は、同じカスタマージャーニー上の単なるマイルストーンである。
📝 マーケティングとプロダクトは同じCJ上のマイルストーン。
12.効果的なオペレーション
デザイン組織の運営で最も過小評価されているのは、円滑なオペレーションの重要性だ。デザインが「クリエイティブな仕事」だからというだけで、効果的なオペレーションと無関係だと考えるべきではない。
📝 この部分は自分も支援できそう。
4 集権的パートナーシップ
デザインチームの組織モデル
これまで、デザイン組織の運営方法は一般に2つあった。集権的社内サービス型と分権的埋め込み型だ。どちらにも長所と短所があるので詳しく見ていこう。そのあとで集権的パートナーシップと呼ばれる3つ目の方法を紹介する。
集権的パートナーシップ:両モデルのいいとこ取り
集権的パートナーシップ(図 4-2)は、分権と集権の両モデルの長所を最大限に活かすために作られた。デザイナーが全員1つの組織に所属し、1人のリーダーに直属する組織構造を採用している点で集権的である。
📝 現在のデザイン組織がこのモデルに近いので、このモデルを拡張することを考えていきたい。
カスタマージャーニー別に編成する
このアプローチを用いるのに、プロダクトチームまたはビジネスチームが同じ方法で編成されているかどうかは関係ない。ジャーニー別に編成されたチームは機能(検索、閲覧、予約)から全体の体験へとシフトできるし、各機能のデザインはより広い体験全体のなかにあってもしっくりくるはずだ。
📝 カスタマージャーニー別にチームを編成するのは良さそう。
デザイン組織はどこに直属?
デザインに勢いをもたらしたのは主にソフトウェアの台頭なので、デザイン組織の多くはプロダクトマネジメント部門に所属している。業界のリーダーらとの話をふまえると、それでうまく機能しているようだ。デザインチームが製品以外のもの、たとえばマーケティングのデザインも担当している場合でさえ、プロダクトマネジメント部門に属すチームはとてもうまくいっている。
📝 現在この形なので、上手くいくパターンなのだと理解しました。
5 役割とチームの構成
組織の横成要員
チームの大部分を占めるのが実行者、つまり気合を入れて仕事を片づける人たちだ。まず、ほぼどんなデザインチームにとっても核となる役割は次の4つ。
・プロダクトデザイナー
・コミュニケーションデザイナー
・ユーザーエクスペリエンス・リサーチャー
・デザインプログラム・マネージャー
次の3つの役割が必要かどうかは、デザインチームの規模、業界、解決すべき問題によって決まる。
・サービスデザイナー
・コンテンツストラテジスト
・クリエイティブテクノロジスト
デザイン組織のリーダーグループ
・デザイン部門長(Head of Desion)
・デザインマネージャー/デザインディレクター
・クリエイティブディレクター
・デザインプログラムマネジメント・ディレクター
📝 デザイン組織のリーダーグループの職種一覧
デザイン組織の進化の5段階
・第1段階:最初は2人
・第2段階:一揃いのチーム
・第3段階:デザインチームからデザイン組織へ
・第4段階:複雑さに対処した調整体制
・第5段階:分散型リーダーシップ
📝 現在、第2段階という認識。 来年、組織を倍にするなら、第3段階へ移行する必要がありそう。
7 チームの育成
ユニコーン・デザイナーの神話
シリコンバレーでは、インタラクションデザイン、ビジュアルデザイン、そしてフロントエンド開発ができる、「フルスタック」ないしは「ユニコーン」デザイナーのブームが起きている。
📝 余談だが、前職では「ツチノコ」と呼んでいた。
10 最後に
デザインの潜在的な機会
デザインの将来を握るカギは、「デザイナーと開発者の比率」がもたらす副次的効果だが、これは興味深いものの正当に評価されていない。その比率とは、第6章で検討した役割の適切なバランスを確保するための目安のことである。デザインに対する投資を真剣に実行している企業では、デザイナーと開発者の比率は、約1:5~1:10だ。
📝 デザイナーと開発者の比率は、約1:5~1:10
以上、デザイン組織づくりも考えていきたい、現場からお送りしました。