読書メモ『AMP IT UP 最高を超える』フランク・スルートマン(著)

『AMP IT UP 最高を超える』フランク・スルートマン(著) を読んだので、書籍から得た知見をご紹介します。

『AMP IT UP 最高を超える』

背景 2023年おすすめ本

ARR1,000億円「Snowflake」CEOの経営論──すべてを異次元成長へ導くプロ経営者・Frank Slootmanに聞くをきっかけにこの本を読みました。

以下、印象に残った箇所の引用とメモです。

第1部 ─ 最高を超えるには

第1章 はじめに:最高を超える力

最高を超えていくための鍵となる5つのステップ(①基準を上げる、②皆のベクトルを合わせる、③焦点を絞る、④ペースを上げる、⑤戦略を転換する)

第2部 ─ 基準を上げる

第5章 戦略よりも実行力を優先させる

「戦略の問題」対「実行力の問題」

では、伸び悩んでいるのは戦略がまずいせいか、それとも実行力が足りないせいか、どうやって見極めればいいのだろう?感情的な衝動のせいで破滅に向かっている可能性に、どうすれば気付けるだろう?私の経験上、売上が伸びない原因は、たいていプロダクトが不十分か、ターゲット市場に届いていないかのどちらかだ。つまり、売りたい相手に響いていないということになる。営業チームが平凡でも、プロダクトに力があれば、苦況を脱し市場に届いていく。反対に、たとえ営業チームがすばらしくても、彼らにプロダクトの問題を修正したり、補ったりすることはできない。

📝戦略? or 実行力?

確かな実行力がない場合は、戦略が悪いのかどうか知る術さえなくなってしまうわけだが、まず実行力については潜在的な要因としておいておき、戦略の評価に移ろう。優れた実行力があってもまずい戦略は救えないが、戦略を変えるべき時かどうかを早めに見極めることはできる。

📝実行力があれば、戦略の改善サイクルが早くなる。

第3部 ─ 人とカルチャーのベクトルを合わせる

第6章 乗客でなく運転手を雇い、不適切な人はバスから降ろす

求む、運転手

「乗客」というのは、会社の情勢に身を任せて何とも思わない人たちのことだ。会社に対してほとんど何のインプットもせず、経営陣が選択した方針にもさほど関心を示さない。愛想がよく、誰とでも仲良く付き合い、会議にも即応、トラブルメーカーとして目立つこともほとんどない。
たいていは組織に溶け込んで、長年そこに留まっている。
困るのは、乗客は問題の分析や指摘については得意なのに、解決のために動こうとはしないことだ。手のかかることはしたがらない。過ちを犯すリスクがある時は、特定の立場を取ることを避ける。そして、風向きを見てどのような側にでも付く。とりわけ大きな組織には、あまり目立たずに隠れていられる場所はたくさんある。
乗客は基本的に組織の重荷であり、知らぬ間に組織のカルチャーやパフォーマンスをかしかねない。本人たちにその気はなくても、乗客がいると組織の力が損なわれる。ビジネスの繁栄に欠かせない動物的な本能や生命力が奪われてしまうのだ。

📝乗客は組織の重荷。

一方「運転手」とは、周囲に溶け込むことでなく、何かを成し遂げることで満足感を得る人のことだ。プロジェクトやチームに対して強い当事者意識を持ち、自分にも他人にも高い水準を要求する。やる気、切迫感、野心、大胆さまでがにじみ出ていて、困難に直面しても「無理だ」ではなく「やってみようじゃないか」と言うことが多い。
だから運転手の価値は非常に大きい。こういう人々を見付け出し、採用し、報酬を与え、手離さないことを、あなたは優先的に心がけるべきだ。運転手を個人的にも公の場でも評価し、昇進させることで、目指すべき手本としてほかのメンバーに示そう。すると、会社に乗っかっているだけの人々が目を覚ます。責任感があり、明確な立場を取ってそれを守り、望む戦略について主張し、変化を起こそうとする人々をたたえていこう。

📝運転手をロールモデルにする。

不適切な人をバスから降ろす

迅速な行動のさらなる利点は、あなたが恐ろしく真剣に高い水準を追い求めているのが、バスに残った全員に伝わることだ。優秀な人々は、高い水準を求められるとやる気になる。こうした水準に合わせることを望まず、もっと楽で緩い環境に目を向けはじめる人がいても、それはそれで構わない。ひどいやり方だと思われるかもしれないことはわかっている。でも、リーダーとして雇われ、任された仕事がありながら、それをしないことのほうが、よっぽどひどい。あなたが必要な変化を起こす気概を持たなければ、最大の可能性を発揮しようとする皆の足を引っ張ることになってしまう。
行動しないリーダーは、ほどなく自分のリーダーシップが問題視されていることに気付くだろう。皆が見ている。あなたがしていることだけではなく、していないことも。

📝リーダーとして迅速に行動すべき。

積極的な採用姿勢を維持する

重要な役職ごとに優先的な候補者のリストをいつも手元に用意しておきたい。必要な時には、その候補者たちに連絡するのだ。

📝候補者リストを継続的にメンテナンスする。

第7章 強いカルチャーを築く

想像以上に大きいカルチャーの役割

成長著しい企業で過ごすのは楽ではない。半端ではないプレッシャー。パフォーマンスに対する厳しい管理。立ち止まることは許されない。緊張感やスピードが好きになれずに短期間で辞めてしまう従業員を、私は何人も見てきた。カルチャーとは、従業員の居心地をよくするものではなく、目的に役立つ行動や価値観によってミッション達成を可能にするものだ。そして、強く、効果的で、ミッションに合ったカルチャーが全員から喜ばれるとは考えにくい。

📝カルチャーは、従業員の居心地を良くするものではなく、ミッション達成を可能にするもの。

カルチャーを守る責任

多くの企業では、物事が全般的にうまく運んでいる時に、悪い行動に対して寛容になりやすい。調子がいいのに、わざわざ目くじらを立てることもなかろう、という感じだ。急成長に伴う成長痛だとか、避けられない副産物として片付けられてしまう。陥りやすいワナなので、ぜひ警戒していてほしい。

📝上手くいってる時ほど、悪い行動に対して寛容になりやすい。

第8章 直接話させて相互の信頼を築く

よりよい選択肢:直接話す

私たちが会社でよく言うのは、「直接話せ」だ。部署をまたいだ問題がある時は、他部署の人々のうち、対処にあたって最も直接的に力を借りられそうなのは誰かを見極めて、ためらわずに連絡すべきだ。皆が!本当に全従業員が、どんな理由であれ、役割、地位、職務内容に関係なく、社内の誰とでも自由に話して構わない。地位や肩書きでなく、影響力を重視する組織にしたい。会社は、争い合う小さなチームの寄せ集めではなく、1つの大きなチームだと、皆には考えてほしいと思っている。

📝現状、自分が出来てない点。

信頼を築く

信頼は、できるかできないかの二択というわけでは必ずしもない。ある部分だけ、ある時にだけ頼できる人やチームや部署もある。そのほかの人々については、あなたの目指すものと、明らかに、そして意図的に対立してくる存在なので、用心しておくべきだということになる。

📝自分の管轄だと、エンジニアリングは信頼できる、一方で〇〇は信頼しにくいというフィードバックをしたことがある。

第4部 ─ 焦点を絞る

第9章 解決策の前に分析を

人事決定では特に分析が大事

では、採用に関する分析が間違っていた場合、どうやって気付けばいいのだろう?私たちは年に数回、「キャリブレーション」というセッションを実施している(第6章で触れた)。各部長が、直属の部下のパフォーマンスと可能性を分析して、ほかの部長に発表するというものだ。これによって、成長株は誰で、苦戦しているのは誰で、深刻に懸念されるのは誰か、認識が明らかになる。部長たちはできるだけ客観的な評価に努め、それに対するほかの部長たちの意見を聞くことで、評価の妥当性も確認することができる。

📝人材評価の分析のためのキャリブレーション。

キャリブレーションは難しい取り組みかもしれないが、組織内に調和不足があれば、それを浮き彫りにしてくれる。また、自分の内なる悪魔と向き合うきっかけにもなる。ある部下が二流以下のパフォーマンスなのに、見逃していないだろうか?程度の差はあれ、こういうことは必ずある。改善は望めるか。そもそも改善を望むべきか。日々の業務に追われて鈍くなりがちな感覚を、分析によって研ぎ澄ますことができる。

📝キャリブレーションは、自分の内なる悪魔と向き合うきっかけになる。

第10章 全員で目指すカスタマーサクセス

カスタマーサクセスは全員の仕事

基本となる部署がそれぞれ適切に機能し、責任を持って仕事をすれば、別途、部署を設ける必要はないのだ。お世話部隊が必要なほどプロダクトが粗末なら、プロダクトの改良にもっと資源を割こう。問題がもっとありふれたものならば、全員で真剣に受け止めて直ちに対処するよう、促せばいい。いずれにせよ、新しい部署を作ったからといって新たな価値は生まれない。むしろ、顧客を失望させているかもしれない部署の責任逃れを助けるだけだ。

📝CSは部署を作らず、各プロダクトチームで直接対応する。プロダクトがお粗末なら、改善する。

第5部 ─ ペースを上げる

第12章 急成長か、緩やかな死か

大きくなっても成長を続ける

より高確率で大きく成長するには、確かな強みを活かし、最初の製品やサービスを隣接市場に適応させていくことだ。ただし、必要がない場合は手を広げすぎないこと。自社の販売能力を拡大しながら、同時に獲得可能な市場を広げていけばいいーまた金脈を当てなければ、と考える必要はないのだ。

📝高確率で成長するには、確かな強みを活かして、隣接市場に適応させていくこと。

サービスナウはITオペレーション向けに設計されていたが、こうしたサービス管理プラットフォームが人事系の部署でも重宝されるらしい、という噂は当初から聞いていた。私たちは人事用語も知らなかったし、まして人事のプロたちに売り込む方法などわからなかった。でも、これが大きな市場になるかもしれないという兆しを見て取ると、人事分野に乗り出した。人事の経験がある営業担当者を新たに雇い、用語も変えた。たとえば、ITの人々が「インシデント」と呼ぶものを、人事の人々は「ケース」と呼ぶのだ。こういった小さな変更は、プロダクト設計から、セールス、マーケティング、サービスに至るまで、すべてのレベルで比較的簡単にできた。私たちは人事向けの事業ユニットを別に作って、別々の指標を追えるようにした。このユニットは輝かしい業績を収め、今もそうあり続けている。

📝サービスナウの事業横展開の事例。

第13章 拡大期も鋭気を忘れず

初期の力強さを持ち続ける

リーダーの使命は、初期の力強さを持ち続け、大企業特有の無気力状態を回避するにはどうすればよいのかを考えることだ。私はテクニックの1つとして、こんな質問を主要な従業員に投げかける。「年内に、何かあと1つだけできるとしたら、それは何かな。そして、なぜそう考える?」。こう聞く理由は、会社が大きくなればそれだけ、同時に進める物事の数が増えるからだ。
従業員は自分でも気付かないうちに動きが遅くなり、集中力も失ってしまう。優先事項を絞って回復に努めていこう。

📝リーダーの使命。

同じように私は、「急いで実行すべきなのに、何かしらの理由でやっていないことを1つ挙げるなら?」とチームに聞くことがある。これは、日々の活動に没頭しすぎて、木を見て森を見ずになることを避けるためだ。すべきなのにやっていないことを、いつでも神経質なまでに意識しよう。逆に、今していることの中で、実は価値がほとんどなく、もっと大切なことに割くべき時間や資源を奪っているものは何かということも、考えてみてほしい。

📝重要度が高いのに、未着手なことに目を向ける。

第7部 ─ 最高を超えるリーダー

第17章 キャリアで最高を超える

一番大切なのは適性

何であれ適性は天与の才だ。雇用主は経験を与えることはできるが、適性は与えられない。

📝機会提供はできるが、適性は与えられ無い。

私など、自分が受けた面接で、得意なことを聞かれたことは一度もなかった。自分が面接する側になってからは、私はこれを真っ先に聞くようにしているし、何より興味深い質問だと思っている

📝面接で得意なことを質問して適性を見極める。

第18章 CEOに向けて──創業者や取締役会との付き合い方

変革は慎重に進めよう

どんな時も創業者への敬意を持って発言、行動しよう。あなたは元々のビジョンを実現するために創業者を手伝いに来ているのだ。CEOとして、そのうち非難だけでなく数々の称賛も得ることになるが、創業者を立てることを忘れてはいけない。

📝どんな時も創業者への敬意を。

結局は、成功が人気に勝る

あなたのミッションは勝利であって、人気取りではないのだから。逆説的ではあるが、勝利を収めれば誰もが好いてくれる。

📝勝利 → 人気

以上、最高を超えていきたい、現場からお送りしました。