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日本製 ATS の API を AI エージェントから使う視点で比較する — 今すぐ使えるのは HERP Hire・Talentio・Wantedly Hire(読み取り専用)の 3 社

重岡 正 · Mon, September 14, 2026

採用オペレーションを Codex CLI や Claude Code に任せる前に、まず「どの ATS なら API 経由で自動化できるか」から確認する必要があります。日本国内の採用管理システム(ATS)には多くの選択肢がありますが、顧客企業が自分で API キーを発行してプログラマブルに叩ける製品は限られています。本記事では公開情報を 2026-09-14 時点で突き合わせ、Codex・Claude Code から今すぐ使える 3 社と、将来に向けて動きのある製品を整理します。

評価の対象は、ATS 本体の総合機能ではなく「エージェントから安全かつ再現可能に操作できるか」という点に絞っています。具体的には、OpenAPI 仕様の公開、Bearer トークンのような標準的な認証、候補者・求人・選考・評価の読み書きエンドポイント、明示されたレートリミット、Model Context Protocol(MCP)サーバーの有無を観点にしました。

2026-09-14 時点の順位

凡例: ✅ あり / ⚠️ 条件付き・限定 / ❌ なし・不可 / ❓ 未確認

順位製品API 公開OpenAPI認証書き込み公式 MCP
1HERP Hire✅ 有料プラン顧客向け✅ あり✅ API キー(Bearer・スコープ付き)✅ 広範❌ なし
2Talentio✅ Business プラン以上✅ あり✅ アクセストークン(Bearer)✅ 広範❌ なし
3Wantedly Hire✅ Professional プラン以上(Growth プランは有料オプション)❓ 未確認✅ Personal Access Token❌ 不可(読み取り専用)✅ あり
4採用一括かんりくん✅ 設定から発行✅ あり✅ client_id・client_secret → X-KANRIKUN-TOKEN⚠️ 一部❌ なし
5HRMOS 採用⚠️ 提供予定告知のみ❓ 未確認❓ 未確認❓ 未確認❌ なし
6sonar ATS⚠️ HRTech 連携事業者向け・新規受付停止❓ 未確認❓ 未確認⚠️ 媒体・検査向けのみ❌ なし

ジョブカン採用管理・i-web(ヒューマネージ)・HITO-Link リクルーティング(パーソルイノベーション)・クラウドハウス採用については、顧客向けの汎用 API ドキュメントを公開情報では確認できませんでした。

HERP Hire(スコープ付き API キーと広い書き込み範囲)

株式会社HERP が提供する HERP Hire は、2025 年 10 月の β 版を経て 2026-02-03 に API を正式提供しました。公開ドキュメントは Redoc で表示され、OpenAPI 仕様を同じページからダウンロードできます。本記事執筆時点のバージョンは 1.10.0 です。

認証は管理画面右上の「API キー」メニューから発行する API キーを Authorization: Bearer <API_KEY> に設定する方式です。発行時に all / read / write / candidacy:all / candidacy:read / candidacy:write をはじめ、求人やユーザーなどリソース単位のスコープを選べるため、エージェントには読み取り専用のキーを渡し、書き込みは別キーに切り離す運用が取りやすい設計です。

エンドポイントは応募ライフサイクルを広くカバーしています。応募の作成(POST /v1/candidacies)、一覧取得(GET /v1/candidacies)、選考ステップ更新(PATCH /v1/candidacies/{id}/step)、選考終了(PATCH /v1/candidacies/{id}/termination)、ファイルのアップロード(POST /v1/candidacies/{id}/files、合計 50 MB まで)と取得(GET /v1/candidacies/{id}/files/{fileId})、タイムラインコメント投稿(POST /v1/candidacies/{id}/timeline-comments、Markdown・メンション対応)、面接などのコンタクト作成、評価の読み書きなどが用意されています。履歴書や職務経歴書をエージェントが取得して解析し、要約や判定ドラフトを Markdown のタイムラインコメントとして戻す構成が、同一 API 内で完結します。

レートリミットはテナント単位で 1 分あたり 100 リクエストで、x-remaining-request と x-reset-at のヘッダで残量とリセット時刻(ISO 8601 形式)を取得できます。レート制限を検知した時点でバックオフする実装を書きやすく、スクリプトが分単位の制限に収まるようキャッシュと差分取得を組み合わせる前提になります。

HERP 自身が公式ヘルプで、履歴書を API で取得してテキスト抽出し生成 AI へ渡し、結果を HERP Hire のタイムラインに戻すユースケースを示しています。生成 AI の出力を ATS へ書き戻すところまで公式ヘルプで示している点が、読み取り専用の MCP を提供する Wantedly Hire との違いです。

弱点は、Webhook の公開仕様が確認できないこと、公式 CLI や SDK がないことです。差分検知はポーリングに寄りますが、OpenAPI 仕様を repo に固定しておけば、OpenAPI Generator で薄いクライアントを生成する運用で足ります。

Talentio(1 時間 5,000 リクエストと成熟した REST)

Talentio は、2026 年 3 月に jinjer株式会社 が開発元の株式会社タレンティオを完全子会社化し、2026-10-01 付の吸収合併により、現在は jinjer株式会社が運営しています。開発者ポータルを長期間運用しており、公開 API ドキュメントは v1.1.2 まで更新されています。OpenAPI 仕様は同ページからダウンロードできます。

認証は「基本設定」の「API 設定」画面でアクセストークンを発行し、Authorization: Bearer <ACCESS_TOKEN> ヘッダに設定します。トークンは発行時に 1 回だけ表示されるため、Secret Manager へ即座に退避する運用が前提になります。認証方式としてドキュメントに記載されているのは、このアクセストークンのみです。

レートリミットは 1 時間あたり 5,000 リクエストで、残量を X-Remaining、リセットまでの秒数を X-Reset で返します。1 ページ 100 件のページネーションで、総件数は X-Total に入ります。1 時間の枠内であれば短時間に集中してリクエストできるため、バースト処理では HERP Hire の 100 req/min より有利です。一方、持続的なスループットは HERP Hire の 6,000 req/h に対して 5,000 req/h なので、BigQuery・Snowflake 等への長時間の全件同期で上回るわけではありません。

エンドポイント構成は候補者(GET・POST・PATCH /candidates)、タグ更新、選考追加と判定(POST /candidates/{candidateId}/stages/{stageId}/judge)、評価更新(PUT .../evaluations/{evaluationId})、添付ファイル(合計 100 MB まで)、コメント、求人作成(GET・POST /requisitions)までを含みます。候補者のステータスを PATCH で直接変更できず、選考を追加して判定 API を呼ぶ流れになる点だけ、エージェントに渡すコマンドを設計する際に注意が必要です。

API 活用の実例として、GMO ペパボの事例では Talentio API と Slack を組み合わせ、書類選考リマインドや面接前通知、職種別通知チャンネル振り分けを自動化しています。Codex・Claude Code 向けの CLI でも、更新をポーリングで検知して Slack チャンネルへ投稿する部分を、同じ構成のままサブコマンドとして実装できます。

弱点は、アクセストークンの権限分離の仕組みが HERP Hire ほど細粒度でないこと、Webhook の公開仕様が確認できないことです。社内 CLI 側で読み取り系と書き込み系のサブコマンドを分け、Claude Code 側でもコマンドごとのパーミッションルールを設定する防御が有効です。

Wantedly Hire(確認できた範囲で日本製 ATS 唯一の公式 MCP)

Wantedly, Inc. が提供する Wantedly Hire は、2026-08-31 に 公式 MCP サーバー の提供を開始しました。本記事執筆時点で確認できた範囲では、日本製 ATS で公式 MCP を公開しているのはこの 1 社のみです。

利用には個人設定から MCP 用の Personal Access Token を発行し、Claude・Cursor・VS Code など MCP に対応したクライアントの設定に、サーバー URL とトークンを登録します。追加費用は Professional プラン以上で発生せず、Growth プランでは有料オプションです。

ツールは次の 8 種類で、すべて読み取り専用です。

  • list_candidates
  • get_candidate
  • list_job_positions
  • get_job_position
  • list_selections
  • get_selection
  • list_candidate_activities
  • get_interview_kit

公式ページでは現時点で読み取り専用と明記され、ステータス更新やメモ追加などの書き込み系は今後の対応として案内されています。2026-09-14 時点では、ATS への書き戻しは MCP 経由ではできません。参照できるデータは利用者の権限範囲内に限られます。Wantedly Hire の公開 REST API ドキュメントは別途確認できなかったため、独自コードでの連携用途には向かず、Claude Code に採用状況を要約させる、レポートを作らせる、「これらの職種で二次面接に進んでいる候補者は何人か」に答えさせるといった対話型の分析用途を想定した構成です。

なお、Wantedly Open API は求人 SNS 側の埋め込みボタン等を対象とした別の API で、ATS のデータにはアクセスできません。

採用一括かんりくん(独自トークンと RPC 風エンドポイント)

HRクラウド株式会社 が提供する 採用一括かんりくん は、中途版と新卒版それぞれで Redoc 形式の API ドキュメントを公開し、OpenAPI 仕様をダウンロードできます。

認証は「各種設定」の「外部公開 API 設定」で発行した client_id と client_secret を使って POST /auth/v1.0/token/get でアクセストークンを取得し、以後のリクエストに X-KANRIKUN-TOKEN ヘッダとして付与します。アクセストークンの有効期間は 1 時間で、トークン発行・API 呼び出しとも会社あたり 1 時間 1,000 回の制限が、検証により変更の可能性がある予定値として記載されています。

Bearer キー 1 本で済む HERP Hire や Talentio と比べると、トークンのリフレッシュとキャッシュ、client_secret とアクセストークンの 2 段階のシークレット管理が必要です。マシン間通信としては自然な構成ですが、Codex・Claude Code のプロセスに生のシークレットを常駐させず、1 時間トークンだけを扱うラッパー CLI 側で管理するのが安全です。

エンドポイントは POST /mid-career/v1.0/candidate/get のような RPC 風の命名で、候補者取得時には取得したいフィールドを request 配列で列挙します。選考ステータスは数値コードで表現されるため、生の API をそのままエージェントに読ませるとコンテキストと推論量を消費します。社内 CLI で atsctl kanrikun candidates list --status selecting --fields name,selection-status,selection-log のようなドメインコマンドへ抽象化しておき、エージェントには数値コードや独自ヘッダ名を推論させない設計が実務的です。

価格は月額 2〜3 万円からです(プランページの説明は月額 20,000 円から、公式サイトのサイト名表記は月額 3 万円)。詳細な料金表は資料ダウンロードで提供されています。新卒版と中途版の API を揃えている点が強みです。

HRMOS 採用(2026-08-31 に API 提供を発表、仕様は未公開)

株式会社ビズリーチ が提供する HRMOS 採用 は、2026-08-31 に API 提供の決定を発表しました。公表時点では「選考情報・応募者情報の参照 API」と「選考評価の登録 API」が予定され、対象は選考フロー管理機能を適用中の環境に限られます。提供時期と詳細は追って告知される旨が記載され、2026-09-14 時点では base URL・認証方式・OpenAPI の有無・レートリミットのいずれも公開情報では確認できません。

姉妹製品の HRMOS CORE API は、OpenAPI 公開、Bearer 認証、Webhook(カスタム通知)、トークンあたり 1 分 600 リクエストのレート制限を備えています。HRMOS 採用 API も同程度の整備が期待できますが、2026-09-14 時点ではあくまで推測の範囲です。既存の HRMOS 採用利用企業は、提供開始の告知を監視して評価をやり直すのが妥当です。

sonar ATS(HRTech 連携事業者向け、新規受付停止)

Thinkings株式会社(ビズリーチグループ)が提供する sonar ATS の sonar ATS Developers は、求人媒体や Web 検査ツールの事業者向けに API を公開しています。応募者情報の登録、Web 検査結果の格納、応募者へのファイル登録、公開求人取得などが用途として説明されており、顧客企業が自社の業務自動化のために叩く API ではありません。さらに同ポータルには、2026-09-14 時点で新規の連携先からの API 開発申し込みを受け付けていない旨が明示されています。

このため、既に連携事業者として契約を持つ組織でなければ、Codex・Claude Code から sonar ATS を直接操作する構成を取れません。ATS 本体の機能評価と、API 自動化の可否は切り分けて判断する必要があります。

エージェントと ATS API の間に薄い CLI を挟む

Codex や Claude Code に生の API を自由入力させるより、ドメインコマンドに絞った社内 CLI を 1 枚挟む構成が、API を利用できる ATS に共通して推奨できる設計です。Codex のユースケース解説「Create a CLI Codex can use」でも、API などへ到達するためのコンポーザブルなコマンドを Codex に渡すパターンが示されています。Claude Code では、権限設定で Bash コマンド単位の allow・deny ルールを、サンドボックスでファイルシステムとネットワークの制限を設定できます。

flowchart LR
    A["Codex / Claude Code"] -->|"限定コマンド"| B["社内 atsctl"]
    S["Secret Manager / OS Keychain"] -->|"実行時のみ取得"| B
    B -->|"HTTPS / read"| C["ATS API"]
    C -->|"正規化 JSON"| B
    B -->|"必要最小限の情報"| A

    A -->|"書き込み案"| G["人間承認 / Policy Gate"]
    G -->|"承認済み書き込みのみ"| B
    B -->|"HTTPS / write"| C

エージェントに渡すコマンドは、API のエンドポイントではなく業務概念に沿った形にします。

atsctl candidate list --status active
atsctl candidate show <id>
atsctl interview list <candidate-id>
atsctl evaluation draft <candidate-id>
atsctl evaluation submit <candidate-id> --from approved.json

この層が置かれていると、HERP Hire のスコープ付きキー、Talentio のアクセストークン、採用一括かんりくんの client_secret → 1 時間トークンといった認証モデルの違いを、エージェントの関心事から隠蔽できます。API キーをプロンプトや CLAUDE.md や AGENTS.md、repo の .env に直接埋め込む運用も避けやすくなります。

書き込み系は人間の承認を挟むポリシーゲートを置き、不採用判定・候補者削除・選考終了のような不可逆操作はエージェントに許可するコマンドの allowlist から除外します。採用データは機微な個人情報を含むため、エージェントへ渡す直前に必要フィールドだけへマスキングし、「ATS から取れるから全部コンテキストに流す」構成は避けます。

OpenAPI 仕様を公開している 3 社については、スキーマを repo に固定して型定義と契約テストを生成すると、API 側の変更をビルド時に検知できます。

ats-integration/
├── openapi/
│   ├── herp-hire-v1.10.0.yaml
│   ├── talentio-v1.1.2.yaml
│   └── kanrikun-midcareer-v1.0.yaml
├── cmd/atsctl/
├── policies/
│   ├── read-allowlist.yaml
│   └── write-approval.yaml
└── tests/
    └── contract/

Webhook の公開仕様がどのサービスでも確認できないため、更新検知は差分ポーリングに寄ります。HERP Hire なら 1 分 100 リクエスト、Talentio なら 1 時間 5,000 リクエスト、採用一括かんりくんなら 1 時間 1,000 リクエストの制約の範囲で、更新日時フィルタとページネーションを組み合わせ、全件再取得は避ける構成が前提になります。

用途別の選び方

想定ユースケース第一候補第二候補理由
Codex・Claude Code で読み書きを広く任せるHERP HireTalentioスコープ付きキーと選考・評価の書き込み API が揃う
BI・分析・バッチエクスポート中心TalentioHERP Hire1 時間 5,000 リクエストの枠でバースト取得でき、REST が成熟している
履歴書 → 生成 AI → ATS へ結果を戻すHERP HireTalentio公式に当該ユースケースを掲載
面接予定・評価を含むエージェントワークフローHERP HireTalentioコンタクト作成でスケジュールと評価依頼まで扱える
新卒・中途を API で大量運用、価格重視採用一括かんりくんTalentio新卒・中途両方の API と月額 2〜3 万円からの価格設定
Claude から対話で採用状況を聞くWantedly HireHERP Hire公式 MCP で読み取り専用の分析が最短
既存 HRTech サービス側から ATS 連携sonar ATSHERP Hire連携事業者向け API だが新規受付停止中の点に注意
HRMOS 採用を利用中で、API の提供を待てるHRMOS 採用を監視HERP HireHRMOS 採用 API はまだ提供予定

Codex・Claude Code から今すぐ組み込むなら、HERP Hire を第一候補、Talentio を相見積もり対象、採用一括かんりくんを価格と新卒運用軸の第三候補として扱うのが、2026-09-14 時点で現実的な順序になります。読み取り専用で足りる分析・レポート用途は、Wantedly Hire の公式 MCP が最短です。sonar ATS は連携事業者契約の有無を確認してから、HRMOS 採用は API 一般提供の告知後に再評価するのが妥当です。

以上、日本製 ATS の公開 API を Codex・Claude Code 視点で比較し、2026-09-14 時点で今すぐ使えるのは HERP Hire・Talentio と読み取り専用の Wantedly Hire の 3 社だと整理した、現場からお送りしました。

参考情報