「JP_Stripes 福岡Vol.12」 登壇レポート 〜 Speculative Implementation × AI で切り拓く Stripe API 移行実践記

Tadashi Shigeoka ·  Wed, October 22, 2025

福岡で開催されたコミュニティイベント「JP_Stripes 福岡Vol.12 - サービスを支える決済の裏側」に登壇する機会をいただきました。

本記事では、当日の発表内容について、資料と共に共有します。

登壇内容

以下、当日の登壇資料 Speculative Implementation × AI で切り拓く Stripe API 移行実践記 から一部抜粋します。

🧭 発表概要

Stripe APIを Acacia → Basil へ移行するにあたり、AIを活用した Speculative Implementation(先行的な複数実装) を試みました。

AIによる並列実装で以下を実現👇

  • ドキュメントに書かれていない制約を早期発見
  • 最適な移行方式の選定を高速化
  • Breaking Changes への安全な対応

⚙️ 背景:Stripe API 移行の課題

  • 🧩 APIバージョンごとの互換性が複雑
  • 🧠 ドキュメントを読むだけではリスクが見えにくい
  • 🔁 「feature flag」「env変数」「全面切替」など、選択肢が多い

🤖 Speculative Implementationとは?

複数の実装パターンをAIに生成させ、実際に動かしながら制約を発見する手法

  • コード生成コストが低いAI時代ならではの開発アプローチ
  • 「設計 → 実装」ではなく「実装 → 発見 →設計」の順で進める

🔍 並行検証した3つのアプローチ

  1. Feature Flag方式
    • 👉 段階的にBasilへ移行
    • ⚠️ SDKが複数API versionを同時サポートしていないことを発見!
  2. 環境変数切替方式
    • 👉 STRIPE_API_VERSION で動的に制御
    • 🧠 設定の明示性は高いが、管理コストも上がる
  3. 全面移行方式
    • 👉 Basilへ一括切替
    • 💪 確実かつメンテナンスが容易

🧩 実装から得た学び

発見内容学び
SDK制約同一SDKで複数API version不可段階移行を断念し全面移行へ
Subscription構造subscription.current_period_*subscription.items[0].*DBスキーマ変更不要と判明
Metering Logic複雑な集計ロジックをAIが整理コードベースで理解加速

📈 Basilでシンプルになった課金実装

  • 新APIでUsage-based Billingが大幅に簡素化
  • メータリングと課金ロジックの責務が明確に分離

📚 AI × ドキュメントの理想的な分業

役割担当内容
🤖 AIコード生成ドキュメントをコードに変換し複数案を提示
👩‍💻 人間意思決定ビジネス要件・環境依存・切替戦略を判断

🔑 成功の鍵:AIが理解できる構造化されたドキュメント設計

🧭 Stripeドキュメントの優秀さ

  • ✅ Breaking Changes が一覧化
  • ✅ Before / After のコード例
  • ✅ APIごとの詳細な影響範囲
  • ✅ 移行パスが明示的

→ AIが正確に理解し、正しいコードを生成できた要因

🧠 学びと今後への示唆

  1. 自社ドキュメントもAIフレンドリーに
  2. 外部サービス選定基準に「AI理解性」を追加
  3. 開発プロセスの進化
    • 「読解 → Speculative実装 → フィードバック → 意思決定」

🏁 まとめ

  • Speculative Implementation × AI により、Stripe API移行のリスクを
    コードで検証し可視化
  • Stripeの高品質なドキュメントが成功を後押し
  • AI時代の開発は「ドキュメントとコードの対話」

AIと人間の協働で安全かつ高速な移行を実現

🔗 References

最後に

当日ご参加いただいた皆様、Stripe社の皆様、そして登壇の機会をくださった DigitalCube の岡本さん、本当にありがとうございました!

以上、StripeとAIをフル活用して開発していきたい、現場からお送りしました。

参考情報