先日、ふとしたきっかけで、新卒で入社した 株式会社ウェブインパクト にいた頃のことを思い返していたら、ずっと頭の奥にしまってあったフレーズを思い出しました。
「生涯エンジニア」
入社した当時に、会社がメッセージとして掲げていた言葉です。
公式サイトからは消えても、インターネットには残っていた
今の ウェブインパクト の公式サイトを開いても、「生涯エンジニア」という表現は見当たりません。会社としての事業内容や採用メッセージは、年月とともに新しく書き直されるものなので、それ自体は不思議な話ではありません。
ただ、昔の採用サイトを辿ってみると、「生涯エンジニア」という言葉がかろうじて残っていました。Internet Archive の Wayback Machine に保存されている 採用サイト「求める人材像」ページ(2012 年 7 月時点のスナップショット) です。参考までに、在籍当時の会社サイト(2013 年 3 月時点のスナップショット) も保存されています。当時の文章を引用します。
エンジニアとは
今、IT産業分野においても、その根幹を支える「エンジニア」が脚光を浴びています。彼らは、システムエンジニアやネットワークエンジニアなど、様々な呼ばれ方をしますが、私は彼らをそんな簡単な「横文字」として言い捨てることは決してしません。「エンジニアであることは生き様だ」。私は常々そう思っています。途方も無い好奇心に裏打ちされた向学心は、その成長の極限を知りませんし、新しい技術が生まれれば、まず自分の食指で触れ理解し、そして批判すらします。そこには、確固たる「哲学」が存在するからです。彼らはその「哲学」に則り、また新しい技術を創造すべく日々努力していきます。なぜならそれが「生き様」だからです。
私はこうしたエンジニアを、企業に雇われ、ただただ日々、言われたことをこなすだけの「職業エンジニア」とは区別して、「生涯エンジニア」と呼んでいます。私はこれまでに多くの生涯エンジニアと知り合い、共に仕事もしてきましたが、「生涯エンジニア」は有名、無名を問わず必ず歴史を作ります。そうした「生涯エンジニア」と仕事を共にできることは、幸福この上ないことです。そしてこの「生涯エンジニア」の潜在性は、誰にでも備わっていることを信じて疑いません。
意義ある仕事をする
人は仕事をする動物です。仕事とは労働に対する対価を貰うことだと、一般的にはいわれています。しかしそこに「意義」を求めると、その一般論だけではかたづけられなくなります。「意義ある仕事」とは、対価に勝る「何か」を見つけられた人のみができる特別なものなのです。
インターネット時代は「智業」の時代と言われています。この時代は、その人の社会的地位や資金力にまったく頼らない、いわば「智力」で世界を動かすことができる時代です。私たちは、この「智力」を持って「意義ある仕事」をし、ひいてはそれが、社会を動かし世界を動かしていく、このことはインターネットの歴史が証明しています。
私たちのミッションは、「生涯エンジニア」を育て、そして共に成長し、天井知らずの「智力」を身につけ、会社という組織を使って結果として利益を得るとともに社会に貢献することです。「生涯エンジニア」を目指したい諸氏と、是非一緒に意義ある仕事をしてみたいと強く思っています。
出典: 求める人材像 | 株式会社ウェブインパクト採用サイト(2012 年 7 月 30 日時点の Wayback Machine スナップショット)
会社が「もう使っていない」と判断したメッセージまで、インターネットは律儀に保存してくれていました。15 年近く前の自分が選び取った言葉と、思いがけず再会したような感覚があります。
名乗るときは「エンジニアです」
2022 年頃に CTO に就任してからは、組織をどう運営するか、どういう人に加わってもらうか、どの事業に投資するかといった非コーディングの仕事の比率が高くなりました。
それでも、初めて会う方に自己紹介をするときや、イベントで名乗るときに、自然と口から出てくるのは「エンジニアです」という言葉です。実際、今でも日常的にコードを書き、Claude Code や Codex といった AI コーディングエージェントを使ってプロダクトの中身をいじっているし、プロダクトの構造を頭の中で動かしている時間も長くなっています。CTO という肩書きはついたけれど、それが自分の立ち位置を書き換える理由にはなっていません。
肩書きが変わっても、自分が何者かを問われたら「エンジニア」と答える。この感覚は、新卒で入ったウェブインパクトの「生涯エンジニア」というメッセージを、どこかで受け取り続けていたのだと思います。
大事にしたい言葉
言葉の力はばかにできないもので、入社時に浴びた一文が、15 年経ってもその後の職業人としての自分の輪郭を決めていました。
「生涯エンジニア」という言葉を大事にしたい、と改めて書き残しておきます。CTO である前に、経営者である前に、まずエンジニアでいたい。これから先、肩書きがさらに変わっていくことがあっても、名乗るときの最初の一言は変えずにいようと思います。
以上、新卒入社したウェブインパクトで浴びた「生涯エンジニア」という言葉をふと思い出した、現場からお送りしました。