Vercel AI Gatewayは、複数のLLMプロバイダーを簡単に切り替えたり、リクエストをロギング・分析したりできる非常に便利なサービスです。しかし、AI関連サービスを利用する上で、私たちが最も気にする点の一つが「入力したデータがどのように扱われるか」というプライバシーの問題です。

2025年9月4日時点では、Vercelの利用規約 (AI Product Terms) では、Enterpriseプラン以外のユーザー、特にBYOK (Bring Your Own Key) 形式でAI Gatewayを利用する場合のデータ利用ポリシーが明確ではありませんでした。この曖昧さが、一部の開発者にとって懸念材料となっていました。

そんな中、Vercelの公式コミュニティでこの点に関する質問を投稿したところ、Vercelチームから回答をいただくことができました。

結論から言うと、Vercelは顧客のプランや利用形態（BYOKかどうか）に関わらず、AI Gatewayを通過するいかなるデータも、自社のAI製品やサービスのトレーニングには利用しないとのことです。

Vercelチームからの回答と要約

以下が、Vercelチームからの回答の原文と要約です。

原文

引用元: Clarify BYOK Usage in AI Gateway Terms - Feedback - Vercel Community

The team will update documentation for clarity. The updated document isn’t ready yet, but they let me know that:

Vercel does not train on any data for AI Gateway for any customers of any tier for BYOK or otherwise. Vercel does not have any plans to use customer content from AI Gateway for any training unless the customer opts-in. As to third-party LLM providers, it is the customer’s responsibility to review and understand the terms for the providers that they select, which are listed in our Notices and License Information (NLI).

著者訳

チームは明確性を高めるためにドキュメントを更新する予定です。更新されたドキュメントはまだ準備できていませんが、以下の内容を知らせてくれました：

VercelはAI Gatewayにおいて、BYOK（Bring Your Own Key）を含むいかなる利用プランの顧客のデータも、AIトレーニングに使用することはありません。Vercelは、顧客が明示的にオプトインしない限り、AI Gatewayからの顧客コンテンツをトレーニング目的で使用する計画は一切ありません。サードパーティのLLMプロバイダーに関しては、顧客が選択したプロバイダーの利用規約を確認し理解することは顧客の責任となります。これらのプロバイダーは当社の通知およびライセンス情報（NLI）に記載されています。

著者要約

Vercelは、いかなる顧客（すべてのプラン、BYOKまたはその他）のAI Gatewayのデータもトレーニングには使用しません。Vercelは、顧客がオプトインしない限り、AI Gatewayからの顧客コンテンツをトレーニングに使用する計画はありません。

サードパーティのLLMプロバイダーに関しては、顧客が選択したプロバイダーの利用規約を確認し、理解することは顧客の責任です。

Vercel AI Gatewayのデータ利用ポリシーの明確化

この回答により、以下の点が明確になりました。

1. プランを問わない: Hobby、Pro、Enterpriseのどのプランであっても、AI Gatewayを通過するデータがVercelによってトレーニングに使われることはありません。
2. BYOKでも安心: 自身のAPIキー（BYOK）を使っていても、Vercel側でデータがトレーニングに利用される心配はありません。
3. オプトインが基本: 将来的にポリシーが変更される場合でも、ユーザーが明示的に同意（オプトイン）しない限り、データが利用されることはないとしています。

ただし、重要な注意点として、AI Gatewayの先にあるLLMプロバイダー（例えばOpenAIやAnthropicなど）のデータポリシーは別問題であると述べられています。AI Gatewayはあくまで中継役であり、最終的にリクエストを受け取るプロバイダーがそのデータをどう扱うかは、各社の利用規約に従います。開発者は、利用するLLMプロバイダーの規約を自身で確認する必要があります。

まとめ

今回のVercelからの明確な回答は、多くの開発者にとって大きな安心材料となるでしょう。データのプライバシーに関する懸念が払拭されたことで、私たちはより安心してVercel AI Gatewayの強力な機能を活用できます。

Vercelは今後、この内容を反映するためにドキュメントを更新する予定とのことです。企業の透明性ある姿勢は非常に好感が持てますね。これで心置きなくAI Gatewayを使っていけそうです！

以上、Vercel AI Gatewayのデータ利用ポリシーに関して調査した、現場からお送りしました。

参考情報

• Clarify BYOK usage in AI Gateway Terms - Vercel Community
• Vercel AI Product Terms