『起業家はどこで選択を誤るのか ― スタートアップが必ず陥る9つのジレンマ』ノーム・ワッサーマン(著) を読んだので、書籍から得た知見をご紹介します。
起業家として選択を誤るポイントを事前に把握しておきたく、読んでみました ?
以下、印象に残った箇所の引用とメモです。
? 創業ジレンマの発生シーケンスに近い思考で、共同創業を決めた。
勤め先の成長の鈍化勤め先の成長率が下がりはじめると、その従業員が会社を辞めて起業することが多くなる。会社に留まる魅力が減り、起業することを選ぶ機会コストも減るからだ(43)。
? 自分はこのパターンでした。
スタートアップが成熟すると、チームは幹部レベルより下の人材を積極的に雇用し始める。この進化について検討するためのひとつの尺度として利用できるのが構造的レバレッジ──幹部ひとり当たりの幹部以外の従業員の人数である(10)。図8‐3に示すように、スタートアップは幹部ひとり当たりの従業員が約2・5人というかなり小さな構造的レバレッジから始まり、成熟とともに着実に値を増やしていく。スタートアップが第5ラウンドの資金調達を完了するまでには平均9・0人になり、初期にレバレッジが小さかったときよりもずっと難しい管理上の問題が発生する。委任できる仕事が多く、幹部が部下である従業員を効率的に管理できる場合には、構造的レバレッジの値が増えることで会社の業績は上がるだろう。部下である従業員が幹部からベストプラクティスを学び、幹部を支えるようになっていくからだ(11)。
? 構造的レバレッジを参考にして、マネジメント対象メンバー数を調整していきたい。
こうした状況から明らかになるのは、創業チームが初期にCxOの肩書きをつけることによる危険性だ。肩書きの乱発は共同ファウンダーや初期の従業員になりそうな人をスタートアップに引きつけるにはよいかもしれないが、チームをアップグレードする必要が生じたときに障害となる恐れがある。
? 肩書の乱発はアンチパターン。
できれば常にこうした事態を予想して、私の直属として雇う人材には説明しておく必要があったのです。『この先ある時点で、あなたに上司を雇うことになるでしょう。あなたがその立場を勝ち取ることもあるかもしれませんが、会社の外部から人材を入れる可能性を知っておいてください』。そう言っておくのは難しいことではありません──いずれにせよ意欲的な人であれば自分が高いレベルの仕事をこなせるはずだと信じようとするでしょう。実際、その意欲があったからこそ最初の段階で彼らを雇ったのですが、たいていはスタートアップの成長に対応しきれなくなります」コミュニケーションを明快にし、いつも予想しながら動いていくのは難しいことではあるが、スタートアップではそれが必要とされる。とはいえ、それができていたとしてもなお、管理面の課題はまだまだ残るのが普通である。
? コミュニケーションを明快にし、常に予想しながら動いていきたい。
この流動的な段階で──特にまだ職務が変化しているときには──特定業務に秀でてはいるがほかの業務に貢献できない、もしくは、する意志がないスペシャリストを雇うことは大きな間違いである。自分たちがオーケストラなのかマーチングバンドなのかわからないときに世界最高のチェロ奏者を雇えば、後々そのために悩むことになるかもしれない。結局マーチングバンドだったとわかったら、チェロ奏者とそのバンドはそこで厳しい時間を過ごすことになってしまう。
? エンジニア採用においては、スペシャリストよりは俗に言うフルスタックエンジニアを採用するべき。
だが、主な不確定要素が解消し、スタートアップが用いる技術や戦略が定まってくると、柔軟性の価値は薄れていく。分野をまたいで従業員を異動できるというオプション価値は意義がなくなっていき、特定業務に秀でたスペシャリストを擁する意義が増していく。それまではっきりしなかった、スペシャリストの代わりにジェネラリストを雇う代償──ジェネラリストによる仕事の相対的な質の低さ──が時間とともに目立ってくるのだ。
? スペシャリストの代わりにジェネラリストを雇う代償、仕事の相対的な質の低さについても理解しておく必要がある。
以上、起業家としてジレンマと向き合い、選択を誤らないようにしていきたい、現場からお送りしました。