読書メモ『未来を実装する――テクノロジーで社会を変革する4つの原則』馬田隆明(著)

Tadashi Shigeoka ·  Sat, December 3, 2022

『未来を実装する――テクノロジーで社会を変革する4つの原則』馬田隆明(著) を読んだので、書籍から得た知見をご紹介します。

『未来を実装する――テクノロジーで社会を変革する4つの原則』馬田隆明(著)

背景 ”テクノロジーで社会を変革”

”テクノロジーで社会を変革”に近いテーマで企業経営をしているため、この本を読みました。

以下、印象に残った箇所の引用とメモです。

デジタル技術によるビジネスの大きな変化

こうした様々な機能の統合を「リバンドリング」と呼びます(図1・3)。一度アンバンドリングされた機能が、APIなどを使うことで、従来の業界とは別の何かを軸にしてリバンドリングされ、業界の再編が促されます。

? リバンドリング

デマンド

デマンド「市場にデマンドがなかった」という失敗

実際、スタートアップや新規事業が失敗する理由の最も多くが「市場に需要がなかった」ということが、スタートアップの調査を行っている CB Insightsによって指摘されています。Yコンビネータというアメリカで最も成功しているスタートアップ支援組織も「 Make Something People Want(人が欲しがるものを作れ)」と何度も何度も起業家に伝えているそうです。つまりそれだけ、忘れられやすく無視されやすいということなのでしょう。

? 忘れやすく無視されがちだが、人が欲しがるものを作るべし。

なぜインパクトが重要なのか

理想がなければ、課題もない

そもそも課題とは何でしょうか。本書は課題を理想と現状のギャップと捉えます。 裏を返せば、理想がなければ課題もありません。つまり課題がない、という現象が起こってしまう原因の一つは「理想がない」からです。

? DXされてないのは、そもそも課題と感じてないケースもありそう。

たとえば、都会に住んでいれば、過疎地には課題がたくさんあるはずだ、と思う人もいるでしょう。不便なことも多いでしょうし、村の因習など嫌なこともあるかもしれません。しかし、意外にも住んでいる当事者は課題を感じていないことも多いのです。

? 課題を感じない事例。

INTERVIEW 起業と社会実装

諸藤周平 株式会社エス・エム・エスの創業者

複雑性の高い市場に挑むためには、起業家の個人にどのような資質が求められるでしょうか? まずは物事を単純化して捉えず、複雑なものを複雑なままに見ることだと思います。そうすることで、本質的な課題を俯瞰的に捉えられるようになると思います。そしてこうした複雑性の高い市場は、事前にはどうなるかが読めないので、やりながら経験学習するような事業だと思っています。なので、経験から学べる起業家というのは重要だと思っています。

? 複雑な課題は、単純化せず、複雑なまま見ること。

ビジネスとガバナンス

アーキテクチャとビジネス

行動経済学等の分野で発展してきた「ナッジ」(人々が自発的に望ましい行動をとるように促す仕掛け)が民間企業でも活用されつつあります。たとえばデフォルトで選択されてあるものを人は選択する傾向にある、という癖を利用して、選択肢を提供しつつもデフォルトで「心臓移植に同意する」を選んでおくことで、心臓移植に同意する人を増やしたという国もあります。同様に、ECサイトで商品を購入する際、デフォルトでメールマガジンの購読をオンにされていると、それをわざわざオフにする人はそれほど多くありません。

? ナッジの活用。

社会実装におけるセンスメイキングの手法

ナラティブ

センスメイキングは主観的な理解を基にしていると言われています。その主観的な理解に大きな影響を与えるのが物語、つまりナラティブです。人々はナラティブによって動かされ、行動を変えていきます。

? 人々はナラティブによって動かされ、行動を変えていく。

事業者自身がナラティブをうまく語るだけではなく、関わる人たちもナラティブをうまく語ることができる状況を作れるかどうかがセンスメイキングのポイントだと言えます。 ここで重要になるのが、ナラティブは与えるものではなく共同構築していくものだという視点です。人々の理解や解釈は、社会や他人との相互作用の中で構築されていきます。ストーリーのように、出来上がったものを一方的に与えるものではなく、相手に語ってもらうのがナラティブであり、センスメイキングのための行動です。

? 相手に語ってもらえるか?、がナラティブ。

オーバーコミュニケーションを行う

ときには双方向のやり取りだけではなく、知ってもらいたいことをきちんと伝えていくこと、そして過剰とも思えるような頻度でコミュニケーションを行っていくことが必要です。伝えられる人たちが、もういいよ、と思うような頻度で行っていかなければ、なかなか人には伝わりません。 一度だけ言われても、人はすぐに忘れてしまいます。

? 過剰な頻度でコミュニケーションを行う。

しかし何かのメッセージを発する側や何かを提供する側は、一度言えば伝わると考えてしまいがちです。だからこそ、メッセージの発信側には「オーバーコミュニケーションをする」という意識が大切です。自分自身がそのメッセージを言うのに飽きるぐらいまで伝えて初めて、人には伝わると考えるべきでしょう。一度だけの伝達で満足することなく、シンプルなメッセージを何度も繰り返し伝えること。それが最終的にセンスメイキングへとつながる重要なステップです。

? メッセージの発信者として、オーバーコミュニケーションを心掛ける。

以上、テクノロジーで社会を変革したい、現場からお送りしました。