読書メモ『Zero to IPO』フレデリック・ケレスト(著)

Thu, April 20, 2023 - 24 min read

『Zero to IPO 世界で最も成功した起業家・投資家からの1兆ドルアドバイス 創業から上場までを駆け抜ける知恵と戦略』フレデリック・ケレスト(著) を読んだので、書籍から得た知見をご紹介します。

背景 Okta 共同創業者の著書

フレデリック・ケレスト氏の経歴から著書から色々と学べそうということで、この本を読みました。

フレデリック・ケレスト(Frederic Kerrest)

2017 年に20 億ドルの評価額で上場し、現在の時価総額が400 億ドル超を誇るエンタープライズ・ソフトウェア企業、オクタの取締役副会長、COO、共同創業者。オクタの企業としての優先事項の確立と推進、会社全体のイノベーションの促進、顧客、パートナー、潜在顧客に寄り添う取り組み、投資家コミュニティとの主な連絡役を担う。ソフトウェアの起業家である著者は、『Zeroto IPO』のポッドキャストの司会を共同で務め、そこに創業者、起業家、イノベーターを招き、彼らが革新的なテクノロジー企業をつくりあげた経験から得た見識を紹介している。また、MITマーティン・トラスト・センターのエグゼクティブ・アドバイザリー・ボードを務め、起業したてのソフトウェア企業の起業家にアドバイスをしている。また創薬プラットフォーム企業、ヘロフィロスの共同創業者兼会長。スタンフォード大学でコンピューターサイエンスの理学士号、MITスローン経営大学院でアントレプレナーシップとイノベーションのMBAを取得。私生活では、家族との時間をたいせつにする。趣味は、読書、スキー、アイスホッケー。

引用元: 創業からIPOまでの流れを網羅的に扱った起業家のバイブル!新刊『Zero to IPO 世界で最も成功した起業家・投資家からの1兆ドルアドバイス』|翔泳社のプレスリリース

以下、印象に残った箇所の引用とメモです。

第3章 チーム

「重要な仕事をいくつも同時にこなしながら、うまくやることはできない。そんなことができる人はほとんどいない。つまり、きみは専門職の人間を雇う必要がある。しかも、早急に」。

? 自分は今、この問題に直面している。

第5章 営業

ただし、胃がきりきり痛むようなら注意しよう。営業はあなたの会社の基礎になる。「イントロダクション」の章でも触れたように、「売れるまでは何も起こらない」のだ。誰かにプロダクトを買ってもらわなければ、それはビジネスではない。それでは、アイデアに取り組むこともできないし、成長することもできない。上場など夢のまた夢なのだ。

? 売れるまで何も起こらない。

■人は人からものを買う 〜 関係性が重要なことを示す一例

では、どうしてオクタに決めたのだろうか?「それは、あなたが直接足を運んでくれたからです。しかも2回も」。  (中略) しかし、エンタープライズ営業は違う。それにはかなり時間がかかる。何時間、何日、何カ月とかけ、自社のプロダクトが潜在顧客の求めるものであり、信頼に値すると説得をする。 1人の担当者だけに働きかければいい会社もあるが、フォーチュン 500 に名を連ねるような巨大組織になると、2人から3人、あるいは 10 人も説得することになるかもしれない。

? エンタープライズ営業の違い。

人間関係を築く最後の理由は、いま購入してくれる経営幹部が他社に移るからだ。そうした人たちとうまく関係を築き、相手の進化する需要に耳を傾け、それに見事に応えられることをくり返し示せれば、彼・彼女らが所属する次、その次、さらにその次の会社でも引き続き購入してもらえるだろう。

? 中長期的な目線で人間関係を構築する。

■ 必読の2冊

どんなものを売るにしても、彼らの言葉はおぼえておこう。

『人を動かす』(KADOKAWA、2016年) デール・カーネギー

『営業の赤本』(日経BP社、2006年) ジェフリー・ギトマー

■営業の準備 〜 顧客候補を特定し、口説き落とすための基本原則

3 自社プロダクトではできないことまで約束しない

顧客から、自社のシステムに特定の機能があるかとたずねられると、つい「あります」と答えてしまい、急いで戻ってどうやって実現しようかと考える。しかし、これはよくない。 まず、とても単純な機能でないかぎり、マーフィーの法則の餌食になる。次に、顧客候補が、参考にあげていたほかの顧客に連絡をしたら、すぐに嘘が発覚する。最後に、これがいちばん重要だが、できることとできないことについて誠実に対応すると、実は顧客から高い信頼を得られる。 サービスナウのフレッド・ルディは、国際的なメガバンクと取引しようとしたとき、彼のソフトウェアであることができるかをたずねられた。ルディは「ただできませんと言うだけでなく、そのための方法もわかりませんと答えた」そうだ。

? マーフィーの法則。 できない、分からないことは誠実に伝える。

■了承を得られたあと 〜 契約を結ぶ3つの手順

「不自然な行為」に取り組む 〜 なんとしても初期の顧客で成功する方法 トッドがオクタで打ち立て、うまくいったベストプラクティスは、最低でも5社で成功するまでは、新しいプロダクトを完全に立ち上げたと見なさないというものだ。この決まりに従うと、最初のいくつかの顧客で、そのプロダクトと実装戦略のあらゆる課題が発見できる。

? 新プロダクトの立ち上げ=最低5社成功

第6章 企業文化

■最初から社会的影響を組み込む 〜 それがよい戦略であり適切なこと

スタートアップを経営するのは大変なので、身のまわりの出来事に目を向けなくなりやすい。しかし、ほかの企業同様、テック企業も共同体の一員である。私たちの業界や拠点とする場所(北カリフォルニア)では、格差がどんどん広がっている。

? スタートアップ経営は大変なので、身の回りの出来事への興味関心が減りがち。

起業家たちはほかの領域より多くの新規雇用を生み出している。だが、雇用の創出だけが共同体を支援する方法ではない。富(自社株)の分配もできる。そうすることで、会社がうまくいくと、隣人もうまくいくようになる。

? 雇用の創出と富の分配。

みなさんはまだ起業したてで、自己資本で運営し、なんとか家賃を支払っていて、余分な現金もほとんどない状況かもしれない。しかし、今後のために社会に影響を与える計画を立てておくのはたいせつである。幸運にも成功したら、どういうところに影響を与えたいだろうか?みなさんの会社はどんな問題に関心があるだろうか?どんな活動に関わるつもりだろうか?さらに、そうした目標のために自社株の一部をどのように割り当てるかも考えておこう。

? 今後のために、社会に影響を与える計画を立てておきたい。

■正しいリスクをとること 〜 リスクテイクを促進する方法

1 起業家精神のある人を雇う(少なくとも社員が100 人ぐらいまでのとき)

2 プロジェクトにリスクがともなうことをみんなに知らせる

「私はみんなに『これが成功するかはわからないけれど、楽しんでやってみましょう』と伝えました」

? 成功するか分からないけど楽しんでやる。

3 楽しくする

「楽しい」とは、遊び心があり、開放的で、冒険心にあふれていることだ。調査によると、遊び心があるほど、クリエイティブな発見があるそうだ。新しい仕事をまかせるときは、特定の結果を出すことより、探究と発見を強調したほうがいい。

? 遊び心

第7章 リーダーシップ

世の中にはリーダーシップに関する優れた本がたくさんある。 私が個人的に好んでいるのは、1人のリーダーのキャリアを追ったものだ。たとえば、ディズニーの会長、ロバート・アイガーの『ディズニー CEO が実践する 10 の原則』(早川書房、2020年)、フォード・モーター社を好転させようとするアラン・ムラーリーの挑戦を扱った、ブライス・ホフマンの『American Icon』(未邦訳)だ(シリコンバレーでは必読である、ベン・ホロウィッツの『HARD THINGS一答えがない難間と困難にきみはどう立ち向かうか』(日経BP社、2015年)も私の愛読書だが、これはもうご存じだろう)。

■優先順位をつける基本 〜 ドワイト・D・アイゼンハワーの助けを借りる

■ アイゼンハワーの意思決定マトリクスを使用する

・重要でも緊急でもないものは、破棄する ・重要ではないが緊急のものは、誰かにまかせる ・重要だが緊急ではないものは、あとでやるリストに載せる ・重要かつ緊急のもの。これこそが意識を向ける対象であり、「最優先」するものだ。決断を下すか、少なくともそれに着手する。

■ かんたんには予定を入れない。予定を惜しむ

あらゆる会議の依頼に懐疑的になる。この会議は本当に必要か?と自間する。必要だとしても、私が出席しなくてはならないか? 出席する場合、1時間も必要か?30分ですべて議論できないか? 何度もおこなわれる会議には特に気をつける。おそらく、その大半に出席する必要がない(ひと月からひと月半ごとに、私は予定に目を通し、ほかの社員から出席するよう頼まれた、何度もおこなわれている会議を削除する)。 それから、私が出席しないと知った社員の何人からもう一度誘われるかを待つ(答えを明かすと、ほとんど誘われない)。

? 全ての会議に懐疑的になる。

■ 社員を集中させる

私のチームが迷いはじめたら、私は彼・彼女らを連れ戻してこう言う。「最優先事項はなんだ?」と。

? チームを最優先事項へ意識を向ける。

■1対1の面談をやめる

たいていのマネージャーは直属の部下と定例報告会議を開く(1 対 1 の面談あるいは省路して 「1:1」と呼ばれることが多い)。だが、ズオラのティエン・ツォはこれをしないそうだ。絶対にしない。 (中略) そうしたミーティングをおこなうと、すぐに週の80%の時間が埋まってしまうが、それは誰にとっても有意義な時間の使い方ではない。ティエンはそう判断した。「私は幹部たちに『私の力を借りたいなら電話をするように。私もそうするから』とだけ伝えた」。 (中略) 1対1で面談するシステムだと、結局いわゆる「ハブ・アンド・スポーク」方式1で問題の解決にあたることになる。そうすると、「リーダーたちが自分で問題に取り組まず、すべてを創業者に持ちこむようになる」とティエンは言う。

? 1on1とハブアンドスポーク問題

■情報が乏しいなかでの意思決定の基本 常に勘を頼りにしなくてはならないから

創業者にとって過酷な現実とは、ほんのわずかな情報だけで絶えず重要な意思決定をしなくてはならないことだ。

パターン認識の罠に陥らないようにする

そこで、前回の状況は考慮に入れるだけにとどめよう。前回の教訓を多くの情報の1つとして利用するのだ。しかし、それだけに頼ってはいけない。

? 前回の状況は情報の一つとしてだけ利用する。パターン認識の情報としては利用しない。

現場との連絡を絶やさない

ただし、いつでも現場の人間に話を聞ける状態にしておくことだ。

■自分のコピーをつくる必要はない 〜 だが、自分の仕事を手放す必要はある

会社が大きくなるほど、創業者自身が高いレベルの仕事をたくさん引き受けなくてはならない。それはつまり、創業者はいつも責任の軽い仕事を分担させなくてはならないということだ。部下に権限を与えるほど、彼・彼女らは成長し、もっと仕事をまかせられるようになる。その分、創業者がやることが減り、会社にとって最も重要な戦略事項に集中する時間がとれるようになる。これこそが最終的な目標だ。

? 共同創業者として、常に責任の軽い仕事を分担していく。

■勝敗を決めるシュートを打つ 〜 生死を分ける瞬間を見極め、意識を向ける

創業者の仕事とは、やることリストのどの仕事が重要なものかを見極め、それに全力を傾けることだ。たとえばオクタは上場しているので、金融業界への四半期ごとの業績発表を成功させなくてはならない。質疑応答で少しでも失敗したら、時価総額が何十億ドルも乱高下するかもしれない。

? 重要なToDoを見極めてそれに全力を傾ける。

■立ちあがって、歩きまわる 〜 現場に足を運ぶ価値

この習慣はとても重要だったので、マギーは一週間の予定に組み込んだ。この行為を「ライオンの狩り」と呼んだ。というのも、ライオン (マギー)が、「何が起こっているのかを見ながらうろうろ歩きまわる」からだ。「最前線の現場こそがあなたの会社です。そこでは一日も欠かさず毎日顧客と関わります。本当は何が起こっているのかを教えてくれる人たちと近い距離を保ち、彼・彼女らと関係を築くことは私にとってたいせつでした」。

? ライオンの狩り。

■対立をはっきりさせる 〜 問題が起きそうな気配がしたら、それを公にする

まかせることに慣れる 〜 いちばんつらいことだが、特に好きなものをあきらめる

そこで、私からのアドバイスだ。仕事の一部が大きくなりすぎて、それを誰かにまかせなくてはいけなくなる時期を予測する能力を、早い段階から養おう。仕事をまかせる半年から 9 カ月前に代わりの人材を探しはじめる。自分の仕事を「あまりにたくさん」手放したら、「やることがなくなってしまう」のではないかという恐怖心にあらがうのだ。

? 仕事を任せる半年から9ヶ月前から代わりの人材を探し始める。

第8章 成長

■「完璧」に反対する 〜 合格点でよい根拠

財務と法務については例外 〜 この部門に「イノベーション」を起こさない

ここまでのアドバイスにあてはまらない2つの部門が財務と法務だ。財務は法合が適用される。クリエイティブになってはいけない。奇をてらわない。標準的な慣行に従うことだ。この部門を管理するには、自分で知識を身につけるか、信頼できる専門家を雇うかだ。

? 財務と法務にイノベーションを起こさない。

第9章 大失敗

■ビジネスにおける唯一の許されざる罪 〜 ヒント:大事なのはお金

創業者や CEO として何より大事な仕事は、絶対に資金を絶やさないことだ。それを最優先にして決断をする。とにかく、金を切らしてはいけない。

? 絶対に資金を絶やさない。

第10章 自己管理

■ときには締め切りを遅らせる 〜 ときに成り行きにまかせる

スタートアップを築き上げるのはまさにマラソンだ。いまみんなの心身の健康を優先させることがいつか実を結ぶだろう。

? スタートアップはマラソン。

だが、もっと些細なことならどうだろうか?ときには成り行きにまかせてもいい。

? ときには成り行きに任せる。

以上、ゼロから IPO を目指している、現場からお送りしました。